足立区、税収300億円。生活保護費338億7000万円。単純計算で、税はすべて約1万3000世帯の生活保護日に消え、まだ足りない。
そして全生徒の40%、1万8614人の小・中学生に就学補助をしている。しかしそれでも、コイズミ改革以降、鉛筆、消しゴム、給食費、体操着を、レッド子の娘など買えない子どもが出てきた。この数字は、母と子が、家族が、道路に野宿する釜ケ崎の大阪・西成区の50.4%に並ぶ。そこに「中学校卒業までの子どもに月額2万6000円」年に31万2000円(初年度半額)を支給する子ども手当法案がでてきた。
「就学補助は<都営>の多い地域では80%を超えます」足立区に住み、足立区で30年以上教員をし、中学校長を務めたA氏の口調は幾分憤懣を含む。
「ところが各クラス4~5名は、給食費、教材費を払わない。催促の電話をかける、手紙も出す。しかし『払います』というだけです。給食がいちばんの栄養源だから、夏休み、子どもの体重は減る」
校長氏は、携帯を持つ率をいう。小学5年で40%、中2で75%。毎月、5000円から2万円を使う。
「だから貧困というのはなんですか。年収200万から300万円、苦しいのは確かです。しかし、食えないのではない。保護を受けながら携帯を使う。髪を染める。そして、給食費、教材費を払わない。督促をかさねて、学校が、どうやら本気らしいと分かると払う。
生活保護が受けやすいように偽装離婚する家庭、中学生が夜に徘徊しても黙っている親、家の中が汚いからと家庭訪問を拒否する家。
懇親会には、40人のクラスでせいぜい4~5人しか来ない。
子どもの教育に心を砕くより、いかにトクするかを考えている親ばかりです。東京23区で、2万6000円の子ども手当てをいちばん喜ぶのは、足立区民でしょう」
【友愛】週刊ポスト2009年10月9日号 足立区・竹の塚 下層社会に政権交代はどう映るか子ども手当に託す〈テレクラ売春主婦〉の夢:Birth of Blues