2011年4月27日水曜日

武田邦彦教授がいわき市長に緊急提言「福島県産の食材を給食に使うな」

2011年4月27日

26日、中部大学教授の武田邦彦教授がいわき市の市長に対し、自身のブログでほうれん草や牛乳など福島県産の食材を給食に使用しないよう訴えている。その内容は以下の通り。

<武田邦彦教授の訴え>
なぜ、市長は「いやがる子供に強制的に、イヤなものを食べさせる」ことができるのですか? こんな簡単な事がなぜ判らないのですか?

いわき市の給食に福島産の牛乳と食材が使われると聞きました。その理由としていわき市の市長さんは、

「福島産の牛乳や食材は危険だという風評を払拭するため」と言われたようです。

質問に答えてください。市長は神ではありません。

前提は「給食に出されたら子供はどうしてもそれを食べなければならない、選ぶことができない」ということで、それがポイントです.

1. 福島の放射性物質は、なぜウシやホウレンソウを避けて落ちるのですか? 規制値以下でも汚染はされているのです。

2. 今、いわき市の子供達は少しでも被曝量を減らさなければならない時期です.その時期になぜ子供達の被曝量を増やそうとされるのですか? 1年間の被曝量を1ミリ以下にできますか?

3. 福島産の牛乳やホウレンソウが危険であるというのは科学的事実で、子供に食べさせても安全だというのが風評です. なぜ、大人の失敗を子供達に贖わせるのですか?

4. 日本の「法律」では1年に1ミリ以上の被ばくをさせることは禁止されていることをご存じですか?

5. 大人より地面に近いところで呼吸をする子供達の方がより多くの被ばくをすることをご存じですか?

6. その人の体に悪い影響をすることを「逃げられない人に強制する」ことはできないことをご存じですか?

すぐ、止めてください。

ここに2つの野菜があるとします。一つが「放射性物質は付いているが規制値以下の野菜」と、もう一つが「産地が遠くて汚染されていない野菜」です。

子供をもつ母親は迷うことなく汚染されていない野菜を買うでしょう. それなのに、汚染された野菜を給食にだすということは「絶対に子供に食べさせたくない親に強要することになる」ことが判りませんか?

そんな神様のような権利は市長でも首相でも持っていません。

放射性物質で汚染されている野菜を我が子に食べさせるのはイヤだと思う親の気持ちは間違っているかも知れませんが、だからといって市長の思想を強制することはできません.

市長が判断できることではないので、止めてください。放射線は怖くないという考えがあっても良いのですが、怖いという人になぜ強制するのですか。

すでに日本はそんな野蛮な国ではなく、個人のイヤなことを強制できる国ではないのです。
(以上武田邦彦教授ブログより引用)

確かに現在出荷されている農産物の放射性物質が残留している量は、一般の規制値ではなく暫定規制値によるものであり、通常定められている数値よりもかなりゆるい規制値になっている。

枝野官房長官もこの規制値については「ただちに影響はない」と発言しており、どれだけの期間摂取したら危ないのかについては明確にしていない。また、通常出荷されているものと比べ何倍の値なのかや、詳細な検査結果についてなどは「規制値以下」とだけ公表され、全く知る事が出来ない場合が多いのが現状だ。

さらに武田教授が言うとおり、「給食」に出すというのはいかがなものか。子供は大人と比べ放射性物質に対する感受性が高い点についても問題であるし、量販店で販売されているものと違い、給食は食べる食べないの取捨選択が出来ない。「安全と発表されているから食べよう」と買うのも、「心配だから食べない」と避けるのも消費者の自由であり、「放射性物質がついた食材は子供には食べさせたくない」と思う親もいるはずだ。

農産物については実際は安全なのかもしれないが、一時的に規制値を吊り上げている事だけで消費者の不安を煽り、さらにどれだけの放射性物質が残留しているかすべての食材で公表していない事を考えると、政府が「風評被害」をもたらしているといっても過言ではないとの意見もある。

子供たちにはできるだけ安全な食品を食べさせたいと思うのは今回の事故が無くとも、常日頃から皆が思っている事だ。給食に通常の規制値以上の農産物を出すのであれば、市は食材に残留している放射性物質の詳細な値を公表し、これだけであれば安全であるとのデータを発表して市民を納得させる必要があるだろう。

参照元:武田邦彦教授ブログ