2011年5月31日火曜日

<東日本大震災>横浜の債権回収会社が被災地29億円超放棄

(毎日新聞 - 05月31日 15:03)

 横浜市西区の債権回収会社(サービサー)「栄光債権回収」が、東日本大震災で被災した債務者1152人を対象に29億6755万円余の債権を放棄することを決め、監督官庁の法務省に報告した。近く自社のホームページで広報する。同社が加盟する全国サービサー協会(東京都千代田区、97社)によると「具体的に放棄を決めたのは初めて」という。濱田修社長は「被災地の惨状では債権回収は無理で、被災者の負担を取り除きたい」と話している。

 対象となるのは、岩手、宮城、福島、茨城各県の債務者。災害救助法の適用を受けた自治体と東京電力福島第1原発の避難地域内の個人事業主や中小企業経営者を抽出した。希望者には貸借契約書も返却する。

 サービサーは金融機関から買い取った債権を回収する会社。資本金5億円以上や、取締役に弁護士が入ることなどが義務づけられ、法相の許可を受ける。

 横浜弁護士会債権回収研究会の高岡俊之弁護士は「回収が難しい債権は管理費もかかり、放棄した方が費用対効果からもよい。今後続く社が出るのではないか」と話している。【網谷利一郎】