2011年5月14日土曜日

日本上陸の可能性は? 履歴書代わりのSNS「LinkedIn」の急成長が続くワケ

日経トレンディ特集「facebook&twitter」連動企画、米ソーシャルメディア、キーマンインタビュー

2011年05月12日|

 この3月、米国のSNS「LinkedIn(リンクトイン)」のユーザー数が1億人を突破した。これはFacebookやTwitter、MySpaceに次ぐ規模と見られ、米国では「最も重要なソーシャルメディアの一つ」として改めて脚光を浴びている。「履歴書代わりのSNS」として知られるLinkedInは2003年の設立で、SNSとしては老舗中の老舗だ。09年からは海外展開を加速し、ロンドンやパリ、インド・ムンバイなどに相次ぎ支社を開設。現在は英語、フランス語、ドイツ語など6カ国語でサービスを展開している。

 老舗のSNSが成長を続けられる理由は何か。Facebookとは何が違うのか。成功の秘訣と日本上陸の意気込みを、同社の国際戦略担当バイスプレジデントに聞いた。

――SNSとしての特徴、Facebookとの違いについて教えてほしい。

アルビン・ラジャン氏(以下ラジャン):LinkedInの最大の特徴は、ユーザーが自分の職歴や現在の仕事について詳細に書き込み、共有できること。以前の勤め先や、そこがどのような会社だったか、そこで何を学んだかまで記入でき、他のソーシャルメディアよりも細かなプロフィールを作れることから、プロとしての自分をきちんとブランディングできる。しかも、LinkedInで自分のプロフィールを作ったあと、Googleで自分の名前を検索するとLinkedInのページが最初に出てくることは多い。

 LinkedInは「プロが集まる場所」だ。翻訳、執筆などに始まり、ささいな仕事でもプロ同士で簡単に依頼し合える。プロフィールが詳しいので、安心感もある。自分の知らない分野の話題について、専門家に意見を求めたいときも、LinkedInなら簡単だ。本名に加え、勤め先まで表示したうえで交流するので、責任を持った発言が自然と多くなるのも、LinkedInの良いところだ。


企業が人材採用ツールとして積極活用

――収益はどのように上げているのか。

ラジャン:収益源は大きく3つある。LinkedInではより多くの機能が使える有料会員制度を設けており、この収益がまず1つ。2つ目は広告だ。LinkedInでは、特定の年齢、特定の職業、さらには特定の規模の企業――例えば社員が50人以下とか――に属する人材など、ターゲットをさまざまに絞り込んだ広告出稿が可能。誰に向けて広告を出すのか、非常に細かな設定ができ、これはほかのSNSにはない要素といえる。またLinkedInは、人材採用のためのツールとして企業に使ってもらうことでも収益を上げている。これが3つ目で、最近特に伸びている分野でもある。

 LinkedInの収益とは関係ないが、最近はマスコミに活用される機会も増えている。例えばIT業界の重要人物も、転職時にはLinkedInのプロフィールだけは正確に更新するケースが多い。この情報をもとに、「あの人物があの会社に移籍したなら、次の製品にはあの機能が入るはず」と予測できるのだ。

――日本上陸の可能性について。

ラジャン:今、日本の市場にどれだけのニーズがあるか、分析を進めているところだ。日本には独自性の高い中小企業や、世界に知られていないプロフェッショナルがたくさん存在している。彼らが海外に効率よくマーケティングするためのツールとして、LinkedInは日本市場と非常に相性が良いはずだ。いつかは言えないが、いずれLinkedInの日本語版をリリースしたいと思っている。