2011年7月20日水曜日

「傍観者であることは賛成しているのと同じ」原発のこれからを考えるために見ておきたい映画3選

2011.07.18 23:30:48 by ガジェ通ウェブライター category : エンタメ Tags : yotahathi ウェブライター

震災以降の日本はまさに不安におおわれている。原発関連についても同様で、私達素人には理解が難しいという点も不安を駆り立てる。

クリーンなエネルギーを唱ってきた原子力発電だが、筆者はここにきて「もしかして相当危険なのでは?」と考え出した。そう感じ始めた人は筆者以外にもいるのではないだろうか。この原発の問題は、一人ひとりが考えることも重要だが、国民全体が一丸となって考えていかなければならない、大きな問題だと思う。

そこで今回はそんな今だからこそ鑑賞して欲しいオススメの映画を紹介しよう。

1 ソイレント・グリーン
この作品は1973年に製作された近未来SF作品だ。原発との関連は薄いが、地球温暖化や食糧危機などの問題を克明に描いている。2022年の地球を舞台としているにも関わらずその世界観はドラえもんなどで描かれている明るい未来とは無縁。劇中で描かれるのはアパートの廊下には瀕死の状態の人々が横たわるなど人口増加により荒廃してしまったショッキングな未来なのだ。

恐ろしいことに劇中で語られる食糧危機や公害など問題は正しく現在の地球が抱えている問題とリンクしており
このままでは本当にこの「ソイレント・グリーン」のような未来がやってきてしまうのでは、と思わず恐怖を覚えてしまう。

1998年に発売されたPSソフト「ゼノギアス」の中に登場する「ソイレントシステム」の元ネタとなった作品でもあるので「ゼノギアス」を昔プレイしたという方にもオススメしたい作品だ。

2 チャイナ・シンドローム
チャイナ・シンドロームとはアメリカの原子力発電所でメルトダウンが起きた場合原子炉内の燃料が地球を突き抜け反対側の中国までいってしまうのではというジョークから採られた言葉だ。この作品は1979年に製作されたいわゆる「反原発映画」である。

劇中最も恐ろしいのは原発推進派による圧力。ジャーナリストの主人公が原発の取材をした際にたまたまメルトダウン寸前の原発事故に遭遇し原発の危険性を訴えるというところから物語が進んでいくのだがあの手この手で原発推進派がメディアの露出を妨害。終盤にはもうヤケクソなのか原発事故の真相を知る職員を射殺するというやり口に「そこまでして真実を隠したいのか!」と思わずツッコミを入れたくなるほどだ。

原発事故を目撃し、その危険性を訴えるジャーナリスト。原発で働き、原発を愛するがゆえ勇気ある決断を下す原発職員。そして目先の利益を優先し真実の抹消を目論む原発経営者。3つの視点から描かれているのも面白い作品である。

3 東京原発
前述の2作品はどちらも海外の作品だが、この東京原発は日本の作品である。恐らく最も原発に関する問題を間近に感じることができる作品だろう。東京に原発を作ろう!という都知事の爆弾発言から物語は進行。劇中では、

「福島や新潟の自然環境を東京の人間が電気を使うためだけのために破壊している。
東京の電気は東京で作るべきだ!」

「原発を支持する人間は都会に多いのに、なぜ都会に原発を作ってはならないんだ?」

など、思わず納得してしまいそうな意見も。

この「東京原発」という作品の最大の特徴は「原発」というお固いテーマを扱っているにも関わらずコメディ要素満載の娯楽作品だという点である。笑えるシーンがふんだんに盛り込まれていて、原発の知識がサッパリな人でも
楽しめるエンターテイメント作品に仕上がっているのは驚きだ。

作品内では原発推進派の意見も取り入れられており推進派と反対派の、両方の立場から原発に関する問題を分析できる。今回紹介した3作品のなかでは一番とっつきやすく原発に関する知識、危険性が得られやすい作品だろう。

最後に
今回このような記事を書いたのは原発に関して賛成をするにせよ、反対をするにせよ原発のことをより良く知った上で自分の意見を持つべきだと感じたからだ。

「東京原発」内にこのようなセリフがある。
「傍観者であることは賛成しているのと同じことだ。」

震災前は難しいことは専門家に任せるのが一番だと思っていた。震災後はそうも言っていられない日本にとっては厳しい状況が続きまさしく「知らないことが罪」になりうる未来がすぐそこまで来ている。

原発問題の全てを理解するなどということは不可能だろう。実際原発に関する記者会見などの動画を見ても専門用語が飛び交いいまいち理解できなかったり見ていても退屈してしまう人が大半なのではないだろうか。(実際私がそうだったりするわけだが…)

でも今回紹介した映画を見てより明日を考えて欲しい。私達にできること。すこしでも力になれることがきっと何かあるはずだ。