2013年1月12日土曜日

記憶を思い出す様子を測定=サルの脳神経細胞で―東大

時事通信 1月12日(土)16時10分配信

 ある手掛かりをきっかけに記憶を思い出す際、脳神経細胞の間で信号が伝わり、増幅される様子をサルで測定することに成功したと、東京大大学院医学系研究科の宮下保司教授や平林敏行助教らが米科学誌ニューロン電子版に発表した。

 宮下教授は「健常な人が記憶を思い出せない度忘れの場合は、この想起信号がうまく伝わらないと考えられる。今後どのような条件で起きるか調べ、原因を追究したい」と話している。研究が進めば記憶障害のメカニズム解明に役立つと期待される。 

 宮下教授らは、サルにとって関心がある餌や天敵などを連想させない図形AとBのペア6組(計12枚)を用意し、覚えさせた。画面にAの図形1枚を示し、いったん消してから、Bの2枚の図形を表示。Aとペアになる正しいBの図形をタッチするとジュースを飲めるようにした。この間、大脳で記憶を担う側頭葉の脳神経細胞の活動を電極で測定した。

 その結果、最初に手掛かりの図形の情報を保持する脳神経細胞から、別の神経細胞にペアの図形を想起するよう指示する信号が伝えられることが判明。この信号が玉突きのように別の神経細胞に伝達されることが繰り返され、想起に至ることが分かった。
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