2011.05.12 Thu posted at: 11:51 JST
ニューヨーク(CNNMoney) 国連食糧農業機関(FAO)は11日、世界で年間約13億トンの食料が失われたり捨てられたりしているとの報告書を発表した。これはヒトの食用に生産される総量の約3分の1に当たるという。
報告書によると、食料事情の不安定さが増しているのは世界的な食料価格高騰と生産の減少に起因する。製造加工の効率の悪さから供給量が減少したり、消費の段階でまだ食べられるのに捨てられて無駄になったりしているという。
富裕国で廃棄される食品は年間2億2200万トンに上る。これはサハラ以南のアフリカで生産される全食料に匹敵する量だという。
浪費の原因として、報告書は主に富裕国の小売業者が見た目の悪い食品を捨ててしまうことや消費者に必要以上に買わせようとする食品業界の宣伝戦略を挙げた。「消費段階で食品を捨ててしまう余裕がある」ことも理由とされている。
一方、生産された食料の消費効率が低下するのは主に途上国で、食品加工生産のためのインフラや技術が不足していることに起因するという。
食品の大量廃棄によって無駄になる資源は食料だけでなく、水や土地、エネルギー、労働力、資本なども浪費されると報告書は指摘する。無駄を減らすための方策として、途上国では効率性向上のための投資増大を提言。先進国では消費者教育、小売り品質基準の緩和、生産地に近い場所での販売、食品を捨てずに寄付することなどを挙げている。