2011年2月28日月曜日

「坊主丸儲け」? 金閣寺住職の申告漏れ

更新日:2011年02月26日

 京都の有名寺院、金閣寺・銀閣寺などの住職で京都仏教会会長でもある京都宗教界のドンが、このたび2億円の申告漏れを大阪国税局に指摘された。問題となったのは揮毫(きごう)料で、個人所得か、お寺の所得かという点。見解の相違とも言えなくもないが、地元関係者の間では2億円という金額に異論の声も出ている。

宗教法人はターゲットに

 明治神宮、日光東照宮など有名な宗教法人も昨今、国税庁のターゲットになったが、金閣寺・銀閣寺もその標的となった形。ただ、長年のこの世界の慣習が、今になって指摘されているという。

 事情に詳しい関係者は「国税も知っていて見逃しているような部分もあったわけですよ。今回の件も、指摘するならするで、もっと早く指摘してやらないと」と話す。

 騒動のあらましはこうだ。金閣寺、銀閣寺などの住職(78)が、大阪国税局の税務調査を受け、2009年までの3年間に、掛け軸などの揮毫(きごう)料として得た個人所得約2億円の申告漏れを指摘され、修正申告に応じた。管長は揮毫料を申告の必要はないと考えていたという(読売新聞)。

 宗教法人の税務申告の定義として、収益事業(課税対象)か、それ以外のお布施などの収益(非課税対象)とを分けて考える必要がある。管長は個人として揮毫料を受け取り、さらに、それで文化財を購入していたと主張する。しかも約20年間続けてきたそうだ。

 ただ、気になる点がある。地元京都の関係者が次のように語る。

京都宗教界のドン

 「揮毫(きごう)料で、2億円てどんなんやって思いますよね。普通、住職が書く掛け軸なんて二束三文ですから」

 そもそも、あまり価値がない掛け軸に、金閣寺の管長が文字を書き入れると、それが数万円から数十万円になると言われる。それだけ、この肩書にパワーがあるということだ。

 78歳という高齢にして、身長1メートル80以上はあろうかという大男。全国紙記者によると、体と同じくらい声も大きく、言動もストレートで、発言力もあるとか。かつては今上天皇ともご学友で「学友で、昼休みにぶん投げてやったぞ」など、やたらと武勇伝を語るそうだ。

 京都宗教界のドンとして、京都の社寺仏閣を担当する「宗教記者クラブ」の間では、この住職を知らない記者はモグりだといわれるほどの権力者で、強烈なキャラクターの持ち主でもある。今回の2億円の使途については、文化財を買い戻すために使ったと主張しているそうだが、異論も出ている。

 「所得を隠すつもりはなかったのでしょうけど、金閣寺の住職という肩書で2億円の収入を個人の所得としています。京都の宗教界を考えてくれてた行動もたくさんありますが、ちょっとグレーゾーンな気がしないではありません」

 この住職は、記者の間ではネタを作ってくれる「ありがたい取材先」だったようだが、今回も図らずもネタを提供することになった。

 さて、次にターゲットになる宗教法人はどこだろうか?