2011年4月21日木曜日

【東日本大震災】海外メディア誇大報道 外務省「放射能で5人死亡」

2011.4.20 20:10

 福島第1原発の事故をめぐる海外報道の一部には、事実に基づかない誤報や被災者感情への配慮が欠けた記事もある。震災から1カ月を過ぎた現在でも、原発事故関連のニュースは海外メディアでも大きく報じられるなど依然、注目が高い。それだけに、外務省は「著しく誤った報道は国益を損ないかねない」として、誤報には訂正を申し入れている。

 外務省によると、英国のタブロイド紙は先月20日付の紙面で、「福島で放射性物質(放射能)の影響で5人が亡くなったらしい」という趣旨の記事を掲載。実際、福島第1原発では、地震後に行方が分からなくなっていた社員2人が30日、4号機タービン建屋の地下で遺体で発見されたが、死因も外傷による出血性ショックで、津波によるものとみられている。

 しかし、この誤報はすぐに広まり、シンガポールとマレーシアの新聞でも同様の記事が掲載された。

 また、米国のオンライン紙は31日に「日本は海外の支援を受け入れず、真実を隠すために海外の専門家を拒絶している」との論説を掲載。だが、政府と東電は仏の原子力産業複合企業「アレバ」の支援を受けて事態の収拾を図っており、関係者は憤っている。

 別の米地方紙は、事故と原爆投下を同一視し、先月15日に3つのキノコ雲に「ヒロシマ」「ナガサキ」「フクシマ」と書いた風刺画を掲載していた。

 これらの海外メディアに対し、外務省は訂正を要請。いずれも後日、訂正記事を掲載した。外務省は「冷静な視点を保ち、日本を応援しようという立場の海外メディアが多数だが、事実を著しくねじ曲げたものもある。今後も正しい認識を持つように要請する」としている。

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