2011年4月21日木曜日

被爆地からの復興のメッセージ 広島県立美術館で特別展が開幕

2011.4.20 21:51

 被爆からの復興の歴史を紹介する広島県立美術館(広島市中区)の特別展「復興への願いを込めて」が21日、始まる。東京電力福島第1原発事故の影響で、海外美術品の貸し出しが中止になったことによる苦肉の策だが、「東日本大震災の被災地の『心の復興』を応援するメッセージ」と位置づけ、収益を被災地に寄付するとともに、会場に募金箱を置いて義援金を募る。

 同美術館では今月5日から、ゴッホやミレーら巨匠の作品84点をそろえた「印象派の誕生」展を予定していた。ところが、うち52点を借りる予定だったフランスが、原発事故を憂慮して日本への美術品輸送停止を決定。一時は、空いた展示スペースのメンテナンスも検討したが、学芸員らが「こんな時だからこそ、被爆地から復興へのメッセージを」と声を上げ、所蔵品による特別展を企画した。原爆をテーマにした平山郁夫や丸木位里らの絵画などをはじめ、「故郷」や「春」をテーマにした作品を展示。ほかに、ダリやピカソらの名作を展示するコーナーも設ける。

 地元出身の主任学芸員、角田新さん(47)は「戦後間もなくの広島でも、人々は苦しい生活に追われながら、心の潤いを求めた。震災の被災者も同じでは」とエールを送る。

 6月12日まで。入館料は大人500円。震災被災者は無料。問い合わせは同美術館((電)082・221・6246)。