2011年7月30日土曜日

埼玉県の10歳女子からセシウムが検出された意味

http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-728.html


埼玉県川口市に住んでいる10歳の女子児童の尿からセシウム137が検出されました。
これは、とても重大な意味があります。そこには「関東の将来の姿」が見えます。

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国民が内部被曝が分からないのをいいことに、いい加減な発表を続けている関係機関

福島県南相馬市を皮切りに内部被曝を計るホールボディーカウンタ検査が始まりました。
なんと、ヨウ素131、セシウム137の生物学的半減期を迎える4ヶ月も経ってからのことです。
国が「パニックを起こさないように」という自分たちに都合のいい理屈をつけて、ここまで検査を遅らせたのです。


しかし、「7月5日、福島第1原発事故直後に原発から半径20キロ圏の同市小高区にいた南相馬市職員ら41人の内部被ばくを調査した結果、全員から放射性のセシウムなどが検出されたことを明らかにした」と、河北新報が報じたように(記事は圧力がかかって削除されています)、内部被曝の事実は政府が何をどう隠しても隠しきれない事態となっています。

また、「同じく福島県の浪江町90人、飯館村20人、川俣町山木屋地区12人の計122人を対象に、6月27日~7月16の間、ホールボディーカウンタ(WBC)で内部被曝の状態を計測したところ、結果が分った109人のうち52人からセシウム134(※半減期2年)が検出され、最高値は3100ベクレルだった。
また、32人からセシウム137(※半減期30年)が検出され、最高値は3800ベクレルであった」ことを、29日の毎日新聞の朝刊が報じています。

この記事には不適切なことがあることに多くの人が気がついたことでしょう。

内部被曝のことを伝えている記事ですから、セシウム134の半減期が2年、セシウム137の半減期が30年と書くのは誤解を生じさせます。
正しくは、「セシウム134の生物学的半減期が約100~200日、セシウム137の生物学的半減期が約70日」と書かなければならないのです。

この記者は、物理学的半減期と生物学的半減期の違いさえ理解せずに記事を書いているのです。

ことほどさようにマスコミは誤報・誤伝を流し続けています。
こうなると、もう実害以外の何者でもありません。

新聞だけでなくテレビのキャスター、アナウンサーも、「内部被曝」という言葉はやっと覚えたものの、まったく勉強していないし、それがために、今また誤報を平気で流しているのです。単に頭が悪いのか無責任なのか、どうも私には理解できません。

この「浪江町90人、飯館村20人、川俣町山木屋地区12人の計122人を対象に行われた検査」は、放射線医学総合研究所(千葉市)で実施されたものですが、その検査結果はこの報告書で確認することができます。

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/20110728-2nisa2.pdf

最後のこのように結論付けているのですが、これをシーベルトに換算してみましょう。
換算するには核種ごとに定められた「実効線量係数」を掛け算します。

これはICRPが勧告している数値ですが、この報告書も、おそらく日本の法律にのっとってICRP基準を採用しているのでしょうから、ここでは、それにならうことにします。

「内部被曝に関する線量換算係数」の表によると、セシウム134の実効線量係数は経口摂取(飲食によるもの)では、1.9×10-8、吸入摂取では2.0×10-8となっています。

セシウム137の実効線量係数は、経口摂取(飲食によるもの)では、1.3×10-8、吸入摂取では3.9×10-8となっています。
(この表にある「半減期」とは、あくまで物理学的半減期のことであって、生物学的半減期のことではないのでご注意ください)

セシウム134の最高値は3100Bq(ベクレル)ですから、すべてを吸入摂取したと仮定すると、
3100×2.0×10-8=3100×0.02=62μS(マイクロシーベルト)となり、
セシウム137の最高値は3800Bq(ベクレル)ですから、すべてを吸入摂取したと仮定すると、
3800×3.9×10-8=3100×0.039=148μS(マイクロシーベルト)となります。
(注意:単位は途中でマイクロに換算していますので、これで合っています)

この報告書では、
「内部被曝が他の地域に比べ、高い可能性のある地域の住民を対象に行ったが、セシウム134、およびセシウム137による内部被曝については、合計しても1mSv未満であり、相当、低いと評価できる」
と結論付けているのですが、まったく馬鹿げたインチキ報告書と言うほかありません。

生物学的半減期のことには、まったく触れていません。
また、肝心の、何を基準にして「相当(わざわざ「相当」という言葉を入れて)低いと評価できる」のかについて書かれてありません。

人は、「低いと評価できる」の文字だけを頭に刻み込みます。

第一、福島第一原発の水素爆発から4ヶ月も経ってしまっているのです。
セシウム134も、セシウム137も、生物学的半減期を過ぎています。
もちろんヨウ素131は、計測器の精度にもよりますが、ほとんど検出されないでしょう。

すでに1mS近く、あるいはそれ以上、内部被曝しているのです。
これは、この検査報告書は外部被曝ではなく、内部被曝について報告しているのです。

琉球大学名誉教授の矢ヶ崎氏、ECRRのクリス・バズビー博士によると、内部被曝は外部被曝の600倍に相当するということになるので、この人は、「600mSv外部被爆相当」ということになります。
これは、とんでもない数値です。

これを外部被曝で言うと、放射能防護服やゴーグル、n100マスク、あるいは防毒マスクを装着して、完全に体表や口・目・鼻などから放射性物質が入らない状態で、放射能の線源から直接、600mSvを浴びたことになります。

ICRP基準では、原発で作業をしているような人が浴びていいのは5年間で100mSまでです。
それ以上、浴びると健康被害が出てくると警告している値です。その6倍を浴びてしまったのです。

ただし、これは外部被曝しか考慮していないのです。
ICRPが「核種ごとの実効線量係数」を出しているのに、内部被曝を無視するのは、とても不思議です。
というか明らかにおかしい。別の意図があるのです。

一方、民主党の川内博史議員が文部科学省に出させたというレポートでは、「体の中の0.2マイクロシーベルトは100ミリシーベルトの被曝と同じじある」とされています。
文部科学省は、内部被曝は実質、外部被曝の50万倍だと言っているのです。



この動画(BSフジLive PRIME NEWSの5月23日放送分)は、この記事ですでにご紹介したものですが、今一度ご覧ください。

06:10辺りからは国立病院機構北海道がんセンターの西尾正道院長が、福島の児童にガラスバッジ(ポケット線量計)を至急、配るよう提案しています。

余談ですが、7月23日の深夜に放送された「朝まで生テレビ」の「原発を語る」に出演したとき、西尾院長は、このように発言しています。

「ガラスバッジを、他のがんセンターの院長と協力して、放射線医療の現場の人間たちから2万個集めて、児童たちに配れるよう準備したところ、いきなり厚生労働省の審議官から横槍が入って『ガラスバッジを配るな』といわれた」。

おそらく多くの人が視聴したことでしょう。

この番組では、他のパネリストたちからも驚愕の事実が語られたのですが、いまだにyoutubeにアップされていません。
ちなみに、この番組は生放送ではなく収録でした。かなり編集された後、放送されたようです。
まったく、この期に及んでも東電や経済産業省に気を遣っているのです。
彼らは犯罪者同然だというのに。

まちがいなく、文部科学省、厚生労働省のコクゾウムシ官僚どもは、内部被曝がどれだけ恐ろしいかを十分知っていながら、福島の児童に毎時3.8マイクロシーベルトを許しているのです。

少なくとも、これでこの報告書が、いかに信用できないものかがよく分ります。
どうせ素人には「生物学的半減期」や、「実効線量係数」など、分らないと思っているのです。

さらに言えば、ホールボディーカウンタでは、もっとも恐ろしいピュアなβ線を出すストロンチウム90や、α線を出すプルトニウムは検出されないのです。
この人たちがストロンチウムやプルトニウムを吸い込んでいないと断言できる根拠を探すことは不可能でしょう。

福島第一原発から、これだけ近くにいても、ストロンチウム、プルトニウムなどは吸引していなんだ、という前提には戦慄が走ります。

「埼玉県川口市の10歳児童のケース」から見えてくるもの。そして、今やっておくべきこと。

川口市は、あまりにも文部科学省を始めとする国の動きが遅いとして、自治体としては、全国で最初に独自の被曝線量限度の値を決めたところです。
毎週、市の職員が精度のいいカウンターで市内のスポットを計測しています。

川口市の基準は0.31uS/毎時を超えた場合は、校庭など野外活動を禁止する、というものです。
福島の基準は、川口市の12倍の3.8uS/毎時です。
…なんと…もう…。

しかし、川口市は、これでも子供たちの健康を守るためにはギリギリの値だと考えているのです。
この川口市にならって、全国の自治体が続々と独自に被曝線量の上限値を決めていったのです。

そんな、放射線については意識の高い川口市在住のお母さんが、子供を被爆させまいと、「震災以降、飲食物、雨にかなり気をつけていて、マスクはGW明けまでしていました。掃除も毎日床拭き、壁も水拭きしました。家に入る時は玄関前でブラシで服を払い、雨が降れば傘やカッパも水洗いしていました」とtwitterで言っているように、細心の注意を払っていたにもかかわらず、10歳の子供の尿からセシウムが検出されたというのですから深刻です。(いちばん上の検査結果の文書)

私は、この事実をここで知ったのですが、7月28日放送の「たね蒔きジャーナル」の小出助教への電話インタビューでも取り上げられていました。

0:3:40辺りから、このことが取り上げられています。



もちろん、このお母さんと10歳の女のお子さんは、福島第一原発から200kmも離れたところにいたわけですから、福島市内の同じ年頃の児童から検出されたセシウムの量より少ないでしょう。

この川口のお母さんが、お子さんの尿を送って検査に出したのは、理研分析センターというところで、案内によると1検体12000円となっていますが、このお母さんが依頼したのは、28000円のコースだということです。
(22000円から30000円まで、精度によって何種類かあるとのこと)。

詳しくは、このお母さんのtwitter

関心のある方は、電話で質問してみてください。意外に細かく質問に答えてくれるはずです。

また、福島市内の株式会社Bambooforestという会社も、尿の中のセシウム検査を行っています。
申し込み書は、ここからダウンロードします。
費用は、この紹介記事では1検体9000円と書かれてあります。

理研分析センターより安いのですが、問題は精度ですので問い合わせてみてください。
ホールボディーカウンターの予約待ちで悶々とするより、何か行動を起こしてみるといいと思います。
電話して質問するくらいなら、ちょっと時間があればできますから。

全体のまとめは、SAVE CHILDにあります。
このサイトは、有益な情報がまとめられていて、とても役に立ちます。カレイドスコープの左サイドメニューにもリンク(リンク2)を貼ってあります。

前の内部被爆について書いた記事でもご紹介した西尾正道氏(北海道がんセンター院長)のところでも、初診料の2835円だけでホールボディーカウンタ検査を一般の希望者を対象に行っているのですが、最近の情報では、すでに9月分までは予約でいっぱい、とのことです。(おそらく、今は10月頃まで予約で埋まっているかもしれません)

詳しくは、西尾先生 国立病院機構北海道がんセンター(札幌市白石区)へ。
残念ながら、今のところ、全国の放射線専門の医療機関でホールボディーカウンター検査を行っているのは、ここだけです。
札幌ですからずいぶん遠いです。

かといって、次の冬休みにお子さんを札幌まで連れて行って、ホールボディーカウンタ検査を受けさせても、生物学的半減期は、とうの昔に過ぎてしまっていることになりますから果たして有効なデータが得られるかどうか。

もしホールボディーカウンタ検査を予約するのであれば、セシウムが、どれくらい体内に残存しているかを知ることが目的となります。
そして、たとえば三ヶ月後、あるいは半年後に再びホールボディーカウンタ検査を受けさせれば、子供の生活圏からどれだけ被曝しているか目安になります。
一度、子供の行動をトレースしてみることが必要になるかもしれません。

今からホールボティーカウンタ検査を受けるのであれば、このように目的を絞ることが大切になってきます。

さて、本当の問題は何か、です。

問題は線量だけではなく、川口市の各スポットを1週間ごとに定点観測した結果です。
この表から分るように、雨が降るごとに放射線量が増えてきているのです。

このことは、福島市内のホットスポットが広がっていく一方だと、医療ジャーナリスト・藍原寛子氏が現地報告しているように、遠く離れた川口でも、まだ放射性降下物が降り注ぎ、土壌では濃縮されていきますから、いずれ新しいホットスポットができる可能性を示唆しています。

細野原発担当は、「放射性物質の放出量は100万分の1に減った」と胸を張って言っていますが、こんなことは当たり前で、それぐらい減っていなければ、日本人は絶滅する運命を決定付けられたことでしょう。

100万分の1といっても、地下水から海洋に漏れて流れている分を無視して、大気中から放出されている分だけでも一日当たり10億ベクレルです。
私たちは3月12日、14日の水素爆発を基準にして考えているので、麻痺しているのです。

東京都は、新宿のビルの屋上に設置してあるモニタリング・ポストで1時間どこに空間線量を計測しています。地上から19.8mの高さになります。

東京都の北側では、川口市の倍も高い放射線量を示しているエリアがあります。この数値は区の職員が地上1mの空間線量を計ったものです。川口市と同じように、雨が降るごとに線量は増えているはずです。

なぜか?

福島第一原発から毎日、放出されている放射性物質はモニタリング・ポストなどより、はるか高いところを漂っているからです。
ですから、雨が降るごとに、地上に「ドサッ」と落ちてくるのです。
モニタリング・ポストの計測値は、私たちの日常においては、あまり意味が無いのです。
私たちは、放射能の見えないドームの中で生活しているのです。

バズビー博士が会津若松の市街を計測したときにテルル129が検出されました。
テルル129の検出は、福島第一原発の原子炉で再臨界がいまでも起こっていることを示す証拠です。
長野県松本市では、放射性ヨウ素131が検出されています。これは6月29日のことですが、ヨウ素の物理的半減期は8日です。

「放射性物質の放出量が100万分の1に減った」といっても、これがいつまで続くのかが重大事になってきた、そういう局面に差し掛かってきたということなのです。
これから台風の季節を迎えると、地上の線量が確実に上がるでしょう。

関東以西の人たちは、チェルノブイリのように一度にドカッと被曝しなくても、今後、1年、2年と原子炉でウラン燃料が燻っている限り、被曝していくのです。
ここは考えどころです。

東京の高級住宅地の価格が大幅に下がっている(つまり、一部で投売りが出ている)ことからも、1年後、2年後、関東がどのようになっていくかが想像できます。
「福島県と同じようになるかもしれない」…私の頭によぎることです。

来年当たり、霞ヶ関では密かに行政機能を移転しようなどという話が出ているかもしれません。逃げ足だけは速いコクゾウムシの連中の考えそうなことですから。

とにかくは、今は、
髪の毛を根元から抜いて(痛ければ抜かずにハサミで切ってもいい)、20本以上保管すること。髪の毛は平均して1ヶ月に1cm伸びるので4cm程度の長さであれば、3月11日に被曝したときの成分が髪の毛に出ている。
その際、3月11日からの行動記録を思い出す限り書いておくこと。

新生児の場合は、ヘソの緒を大切に保管しておくこと。DNAからその赤ちゃん本人であることが特定できるし、放射性物質も検出できる。生まれたばかりの赤ちゃんは髪の毛が無いので、この方法がいちばん。

遠い先の未来は。

考えたくないことですが、時間が経てば「原発事故と放射能による健康被害との因果関係」は立証が困難になります。
将来の補償を考えて確たる証拠を今のうちに残しておくことが大切です。
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