2011年9月5日月曜日

豊洲コアサンプル廃棄(汚染証拠隠滅)差止請求訴訟

事件名:豊洲コアサンプル廃棄(汚染証拠隠滅)差止請求訴訟

事件の内容:東京都に対し、築地市場仲卸業者と市場利用住民が移転先とされる豊洲のボーリングコアサンプルの廃棄を差し止めることを請求

係属機関:東京地方裁判所民事第35部合議B1係

事件番号:平成21年(ワ)第28357号

期日:9月7日(水) 午後1時30分~ 東京地方裁判所530号法廷
       (※これまでの法廷と異なりますのでご注意ください)
 
*取材、応援等大歓迎です。
*法廷終了後に弁護士会館に移動して報告会を開催予定
*傍聴に際し、資料も事前に配布いたします。



******NPJ 弁護士の訟廷日誌より*****
http://www.news-pj.net/npj/2009/coresample-20091006.html

原告代表 山崎治雄 意見陳述 〔要旨〕
  NPO法人市場を考える会理事長山崎治雄といいます。
  本日は、コアサンプル廃棄差止請求訴訟の期日ということで、 私たちがなぜコアサンプルの廃棄の差止めを請求するのかということについて裁判所に知ってほしいと考えております。
  私たちは市場を考える会を3年前に立ち上げました。
  それ以前から、私たちは、築地の豊洲移転問題に取り組んでまいりました。大勢の方々のご支援を得て、今日まで続けてくることができました。
  しかし、これまで行政の行っている豊洲問題への対応について、私たちが、なるほどと思ったことは一度とありません。 土壌汚染対策に関しては欺瞞と隠蔽に満ちています。そのため、何が何でもコアサンプルを保護して頂きたい。
  その必死の思いで、裁判を起こしたのです。
  コアサンプルが捨てられてしまっては東京都の土壌汚染対策が適切かどうか検証することも全くできずどうにもなりません。
  裁判所におかれては、是非、その辺りの事情を十分に汲み取っていただきたいと思っております。私は一魚屋として多くの方々とともにやってきました。
  食の安心安全は国民全体の大きな問題です。我々の行動なくしては、築地移転問題はこれほど大きくなりませんでした。
  我々が行動を起こさなければ臭いものに蓋をしただけで終わっていたでしょう。行政が大きな過ちを犯さないよう、真剣に取り組んでいきたいし、 後々、多くの人が、無駄な税金を使わないで止めて良かったと思えるようにしていきたいと考えております。
  市場を移転させたら、不安の中で市場が運営されます。
  消費者は、食の安全に対する不安の中で生活せねばなりません。
  市場の者は、暮らしの安全に対する不安の中で生活せねばなりません。
  築地は世界のブランドです。世界中から人々が訪れる大きな観光名所であり、世界70数か国から品物がやってきます。 築地市場に存在意義があるということを改めてご理解下さい。土壌汚染厳しい豊洲新市場予定地には絶対に移転させてはなりません。
  一魚屋の社長風情で色々申し上げてきましたが、必ずしも詳しくないところもございますので、 言葉の足らないところは弁護士の方からお伝えしていただきたいと思います。
  どうぞ真摯なご判断いただきますようよろしくお願いいたします。

原告弁護団長 梓澤和幸弁護士 訴状陳述要旨
1 水産物のうち、都民消費の90%を供給する東京市場の移転先とされる豊洲は、 東京ガスの工場跡地であり石炭から都市ガスを生産する工程で作られた廃棄物タール、コークス、炭がらなどを廃棄していたところから、 ベンゼン、ベンゾピレン、シアン化合物、ヒ素、他の有毒物が埋蔵されている箇所である。

2 築地市場の豊洲移転を進める東京都が設置した専門家会議、技術家会議が汚染物質の水平の分布(どこにあるか)、 深路の分布(どの深さにあるか)を測定するために行ったのが、本件コアサンプルを生み出したボーリング工事であり、 このコアサンプルを元に同会議が作成したのがボーリング柱状図である。

3 コアサンプル保全が死活的に重要であるのは、①汚染がどれだけ広いか、それがどこにどのように存在しているのか、 その有毒性の程度を示す欠かすことのできない物的証拠であるからである。 ②専門家会議の立てた汚染対策は、水を通さない有楽町層(不透水層)に切れ目がないか、有楽町層の深さと強さがどれだけであるかということを検証する、 これまた不可欠の物的証拠であるからである。

4 鳩山総理大臣は政権成立にかかる総選挙の際、築地市場の劈頭において、政権成立後はむやみな豊洲移転を行うことはないと選挙民に約束し、 また、赤松農水大臣は9月24日朝5時30分から行われた現地視察の際、「安全性が確認できなければ主務大臣として許認可をしない」 との言明を行った。 東京都議会選挙でも移転反対をマニフェストに掲げた民主党を始めとする野党が多数を占め、築地移転問題特別委員会が設置された。 このような状況の下で、科学的な再検証を確保するためにコアサンプルの保全は不可欠である。

5 原告らは築地市場で仲卸業を営む業者と消費者によって構成されている。
  コアサンプルが廃棄され、安全が客観的に検証される手段を失ったまま移転が強行されれば、原告らの健康、生命、営業、 安全な食物を食する利益が心外されることは火を見るより明らかである。

  原口総務大臣は、内閣成立直後である9月20日のNHK日曜討論で 「命につながる政治を実現しなければならない」 と述べ、政治家の発言として新鮮な感動を与えた。 長く厳しい訴訟が行われてきた八ツ場ダム問題では、前原国土交通大臣の工事中止の言明が行われた。 障害者自立支援法違憲訴訟では、国はその訴訟進行の姿勢を検討することを表明した。 沖縄密約訴訟では密約文書の存在を指摘する元外務事務次官吉野文六氏の証人尋問が決定された。 密約開示を指示した外務大臣は、この証人の出頭を民事訴訟法に基づき承認する蓋然性が高い。鞆の浦景観訴訟では,景観利益に基づき工事差し止めが認められた。 人々の切実な生活利益にかかわる訴訟は、新しく希望の時代を迎えていると言えよう。

  原告訴訟代理人団は9月30日午前5時30分、築地市場の競りの現場、原告団代表山崎治雄氏の仲卸業の店を始め、 800を越える仲卸の店舗の営業に接し、また、○○駐車場ビルの屋上から築地市場の全景に接した。 なにより心を打たれたのは、人々がまだ寝入っている早朝から働く人々の言葉少なで引き締まった荘厳ともいえる表情であった。
  本件訴訟がこの新しい時代と築地市場の実情とあるべき未来にふさわしい帰趨を辿るよう、 原告らと代理人らは微力ながらこの論戦の場に立ち会う光栄を引き受け、その力を尽くす所存である。
  裁判所におかれては、訴訟指揮と結論において、この裁判がかかえる役割にふさわしい公共的使命を果たされるよう心から要望する。

  被告 東京都
  答弁書陳述

【第2回口頭弁論期日の内容】 (2009年12月2日)
  原告ら(原告14名)は、コアサンプル廃棄に関して、 安全配慮義務に基づく差止めという理論構成と憲法13条で保障される自己決定権を根拠とする差止め請求という新たな理論構成に基づく主張を補充するとともに、 説明義務違反による損害賠償請求を追加しました。
  裁判所は、原告の主張に対する被告の反論書の提出を求めるとともに(反論書提出期限2010年2月10日)、今後の審理の進行に関して、 進行協議期日を実施することとしました。
  今回の期日において、原告側から詳細な法律論、事実論が展開されたことによって、今後、本格的に、東京都との間で、論戦が繰り広げられる様相を呈しています。

※ また、去る2009年12月2日、新たに196名の原告(※大多数は築地市場の仲卸業者)が、 コアサンプル廃棄の差止め請求と説明義務違反による損害賠償請求を求め、東京都を被告として東京地方裁判所に訴訟提起しました。
  現段階では、係属中のコアサンプル廃棄差止請求事件(原告14名)にまだ併合されていませんが、係属事件を担当する東京地裁民事35部は、 両事件を併合して審理する方向で検討しています。


【市場を考える会について】
  『市場を考える会』 は、「食の安心・安全=将来市場を担う子や孫達のために」 をスローガンに築地の未来を考え、 移転予定地である豊洲の土壌汚染問題や築地の再開発について真剣に考え、移転の反対活動をしています。

【一言アピール】
  築地市場の移転候補地である豊洲の土壌汚染状況の調査に必要不可欠なボーリング調査の結果採取された土壌コアサンプルを、 東京都が現在廃棄しようとしていることが、確認されました。
  万が一、豊洲の土壌コアサンプルが廃棄された場合、豊洲の土壌汚染の実態調査につき検証することが不可能となり、 ひいては、適切な汚染土壌の除去対策の内容も定めることができません。
  そこで、『市場を考える会』 の皆様の呼びかけにより,コアサンプル廃棄処分の人格権に基づく差し止めを求める訴訟(被告 東京都)を東京地方裁判所に提起しました。

  これに関連して、朝日新聞のスクープ(2009年1月26日付け朝日新聞朝刊)により、実際には、 豊洲汚染土壌対策の専門家会議で公表されていたベンゾピレン(極めて強い発がん性物質)の値の115倍に達する数値が東京都の委託調査で確認されていながら、 公表されてこなかったことが明らかにされました。石原知事の強い指導の下、東京都の担当部署は、築地市場を豊洲へ移転するという政策の実現を急ぎ、 ベンゾピレンのデータにつき意図的な情報隠しがされたと非難されても仕方のない対応に出たのです。
  豊洲の汚染土壌のコアサンプルが廃棄されてしまっては、東京都による土壌汚染対策を含め、築地市場の豊洲移転政策の当否について、 専門家による検証の道が完全に閉ざされてしまいます。

  今回の、コアサンプル廃棄の差し止めを求める訴訟提起の意義は、築地市場の豊洲への移転政策の可否そのものを問うものでもあります。
  ところで、現在、2009年9月24日朝、築地市場を視察した赤松農林水産大臣は、豊洲地区への移転について、 安全について納得できなければ認可しないという考えを改めて示しています。

  赤松農林水産大臣:「安全が確認できなければ、これは前の石破大臣もそうですけれども、また、私自身が納得できなければ絶対にサインはしませんから」

  築地市場は東京都が運営していますが、移転については農水大臣の認可が必要です。 移転をめぐっては、民主党が都議会で 「強引な移転は反対」 と主張しています。これに対して、東京都側は、汚染土壌を取り除いたうえで2014年に移転させる計画です。


 以上
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