2011年9月24日土曜日

根底崩れた?相対論…光より速いニュートリノ

(読売新聞)

 名古屋大などの国際研究グループは23日、物質を構成する素粒子の一種であるニュートリノが、光の速度より速く飛んでいるとする観測結果を発表した。

 現代物理学の基礎であるアインシュタインの特殊相対性理論では、宇宙で最も速いのは光だとしている。今回の結果は同理論と矛盾しており、観測結果が事実なら物理学を根底から揺るがす可能性がある。

 この観測結果が得られたのは、スイス・ジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関(CERN)の「OPERA実験」。ニュートリノ(ミュー型)を加速器という装置で打ち出し、約730キロ・メートル離れたイタリアのグランサッソー地下研究所へ地中を通して飛ばした。

 光はこの距離を0・0024秒で飛ぶが、今回の観測によって、ニュートリノは光より1億分の6秒速く到達していることが分かった。これは、光の速度より0・0025%だけ速く飛んだことを示している。

 ニュートリノの飛行速度を巡っては、2007年に米国の研究チームが論文を発表している。しかし、この時は誤差と区別がつかなかったため、「光速と差がない」と結論づけられた。今回は原子時計を備えた全地球測位システム(GPS)と光学測量を組み合わせ、3年間かけて約1万5000回分の飛行速度を精緻に測定した。その結果、誤差を考慮しても、光速を超えていることが判明した。

 この観測結果は、現代物理学では説明できない。観測に参加した名古屋大の中村光廣准教授は「物理学全体への影響が大きいため、解釈は加えないと研究グループ内で合意している」と述べ、他グループの実験による検証を求めるために発表に踏み切ったとしている。

 ◆ニュートリノ=電気的に中性で、物質を透過する。「電子型」「ミュー型」「タウ型」の3種類があり、飛行中にそれぞれ別の種類に変化するニュートリノ振動という現象を起こす。以前は質量がゼロと考えられていたが、故・戸塚洋二東京大特別栄誉教授らによる観測で、質量があることが明らかになった。

[ 2011年9月23日21時28分 ]
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