2011年10月14日金曜日

屈曲部で横ずれ型地震集中発生 大規模地震の引き金になる恐れ 産総研

2011.10.14 00:04

 大阪府を縦断する「上町断層帯」の一部で、断層が平行にずれる「横ずれ断層」型の微小地震が集中的に発生していることが、産業技術総合研究所の研究チームの調査で分かった。静岡市内で開催中(12~15日)の日本地震学会で明らかにした。横ずれ断層型の微小地震の頻発は、大規模地震の引き金になる可能性が指摘されており、研究チームは「周辺に比べて特異な現象で、上町断層帯の活動メカニズムの解明につなげたい」としている。

 調査したのは、産総研の地震発生機構研究チームで、平成14年6月~今年1月の約9年間に、産総研などが観測した上町断層帯付近で起きた地震のデータを収集し分析。その結果、この間に、深さ20キロより浅い震源で起きたマグニチュード(M)1以上の地震が計256カ所で確認された。

 このうち233カ所を地震のタイプで分類したところ、大半は斜めの断層で乗り上げている側が上方にせり上がる「逆断層」型だったが、弓形になっている上町断層帯が最も屈曲している地域(弓形の頂点付近)では、横ずれ断層型が数十回集中して発生していることが判明した。

 上町断層帯は、大阪府豊中市から大阪市を経て、岸和田市内までの約42キロにわたって弓形に連なる活断層。国内の活断層の中でも地震発生確率が高い方に属しており、阪神大震災を上回るM7・5程度の直下型地震を引き起こすと推測されている。府内の住宅密集地を走っているため、巨大地震発生の際の被害が甚大となることは避け難い。

 研究チームの今西和俊主任研究員は「上町断層帯で大規模地震が起きれば甚大な被害が予想される。それだけに、断層の動きの特徴を把握し、大地震発生につながる兆候かどうか調べていきたい」と話している。

 【逆断層】 断層とは、地下の地層か岩板が力を加えられたことによって割れ、割れた面に沿ってずれ動いた状態を意味するが、断層面が斜めの場合、乗り上げている側がせり上がった場合を逆断層、ずり落ちた場合を正断層と呼ぶ。「逆断層」型の地震は、岩板が水平方向に圧縮される場合に起きやすい。

 【横ずれ断層】 断層面が水平方向にずれた断層。阪神大震災やマグニチュード(M)7・8とされる1906年のサンフランシスコ地震は「横ずれ断層」型の地震に分類されており、専門家からは横ずれ断層型の微小地震の頻発が大規模地震の引き金になる可能性が指摘されている。
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