2012年10月9日火曜日

何かおかしい…女の生活保護不正を見破った糸口

読売新聞 10月8日(月)16時46分配信

 埼玉県草加市の女(昨年10月死亡、当時33歳)が東京、埼玉の計10市区から生活保護費計約1000万円を不正受給した問題では、早い段階で不正を見破り、支給を止めた自治体もあれば、都や警視庁などから情報提供があるまで気付かなかった自治体もあった。

 自治体担当者から「もっと早く被害を食い止めるべきだった」との声が出ている。

 草加市は、女が申請をした時点で不審に思い、他の自治体に問い合わせるなど独自に調査をした。これが全容が発覚するきっかけの一つになった。

 「病院への移送費は出ますか」「申請日まで遡ってお金が出るはずですよね」

 昨年3月30日、窓口でそう話す女に、市の男性職員は首をかしげた。「生活保護を受けたことがない」と言うのに、質問が専門的だったからだ。女は障害者手帳を見せ、「障害があって働けない」とも強調した。

 「何かおかしい」。ひとまず支給を決定する一方、収入を隠しているのではないかと疑い、前に住んでいたという東京都東久留米市に、収入の有無を照会した。

 同市から意外な回答があった。「市で生活保護を受けていた」。草加市への申告がウソだと分かった。

 不正の疑いを強めた市は、女が提出した親族一覧などを基に調査を始めた。すると、西東京市、足立区、葛飾区などで本人や親族の名前で、生活保護が支給されていたことが分かった。

 草加市はこれらの市区に通報。足立区や葛飾区も、ほぼ同時期に不正の疑いを強めており、ここから本名や親族名を使い分けた不正が明らかになっていった。草加市の担当者は「早い段階で不正を見つけないと、被害が膨らんでしまう。もっと早く他の自治体と情報共有ができたはず」と悔しそうに話した。

 一方、国分寺市、立川市、府中市、練馬区などは、いくつかの自治体から報告を受けた都や、女を逮捕した警視庁などから情報提供があるまで不正を疑わず、支給を続けていた。

 府中市は昨年6月、女が逮捕されたという報道に驚き、女が自宅と申告した賃貸アパートに、職員が向かった。部屋は不在で、その後、実際はそこに住んでいないことが分かった。

 市の担当者は、読売新聞の取材に「自治体間に横のつながりがなく、情報を共有できなかった。今思えば反省点はある」と話した。

最終更新:10月8日(月)16時46分

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