2012年10月9日火曜日

ニセ医師:3年で給料3500万円 13医療施設勤務

 毎日新聞 2012年10月06日 15時00分(最終更新 10月06日 15時17分)

 医師になりすまして詐欺などの疑いで警視庁に逮捕された黒木雅(みやび)容疑者(43)が、東京都板橋区の高島平中央総合病院などだけでなく、少なくとも4都県13カ所の病院・診療所で勤務していたことが捜査関係者などへの取材で分かった。09年以降の約3年間にだまし取った給料の総額は約3500万円に達するとみられ警視庁は全容解明を進める。

 調べに対し、黒木容疑者はこれまでの勤務先について、東京8▽神奈川3▽長野1▽千葉1カ所の計13カ所と説明。「やったのはすべて健康診断」と供述しているという。

 給料は勤務先によって異なるが、医療関係者らによると、非常勤医師の日給は最低でも5万円台で、7万円前後が中心という。黒木容疑者は「約500日にわたり勤務した」と供述しており、給料の合計は3500万円程度とみられる。

 関係者によると、黒木容疑者は山口大学教育学部を中退後、予備校講師や医療事務などの職を転々とし、柔道整復師の専門学校を卒業。なりすましを始めたのは、09年6月に同姓の実在する医師名で医師免許証を偽造して以降という。

 だまされた病院の一つ、日本健康管理協会東京支部(日健協、新宿区)は09年8月、黒木容疑者を非常勤医師として採用。履歴書には看護師の資格を取った後、国立医科大学に進み、大手総合病院の心療内科勤務と記載されていた。面接の担当者は「珍しい経歴だったが向上心のある人だと感じた」と振り返る。

 最も勤務日数が多かったのは品川区にある健康診断専門のクリニックとみられ、09年9月に紹介会社を通じ採用された。当初の日給は7万5000円。数カ月後に契約が解除されたが、その後はクリニックと直接契約していた。11年3月まで「約240日勤務した」と供述しているという。

 黒木容疑者の医師としての勤務日数は、品川区のクリニックや日健協のほか、高島平中央総合病院、清水橋クリニック(横浜市港南区)、NPOメディカルチェック(長野市)の5カ所で大半を占めるとみられる。このうち品川区のクリニックだけがいまだに都や区へ報告をしていない。厚生労働省は「無資格と分かれば、病院は速やかに関係先に届け出るべきだ」としている。警視庁生活環境課は、このクリニックを含め、ほかの病院などでの勤務実態についても捜査を進める方針。【黒田阿紗子】

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